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今あるガンが消えていく食事

今あるガンが消えていく食事
~進行がんでも有効率66.3%の奇跡~
三愛病院医学研究所所長 済陽高穂著 マキノ出版
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 日本人の死因のおよそ三分の一を占める「ガン」。そのガンを治す医師になりたい。そう思って、私は『消化器外科』の道を選びました。

 消化器は病気全体の約半分が発生する臓器で、そのなかでもとくにガンが多く発生する部位です。そして、当時の常識では、「ガンは手術で切除して治すもの」だったため、消化器外科医こそガンを治す専門家の筆頭だと思ったのです。

 そこで私は、外科医として何十年も修業を積み、多くの手術を行ってきました。外科医になって三〇年目にあたる二〇〇〇年までに、執刀した手術は約四〇〇〇例。そのうち約半数が消化器ガンの手術でした。

 手術の腕を磨き、より多くの患者さんのガン病巣を的確に切除すること。それが、自分の初心である「ガンを治す」ことへの、最も大きな貢献になると信じていました。
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 しかし、ある時期を境に、私はこの考えに疑問を抱くようになったのです。手術・抗ガン剤・放射線という、現代医学の三人療法だけでは、「ガンを治すには限界があるのではないか」という疑問です。

 漠然と抱いていたその疑問を、確信に変えたのは、二〇〇二年に行ったガンの患者さんの追跡調査でした。

 外科医にとって、手術を行った患者さんについての追跡調査は、自分の手術成績を客観的に知る重要な指標となります。そこで私も、この年、自分や後輩が手術をした消化器ガンの症例二四○六例を調査しました。


 すると、五年生存率、つまり、患者さんが手術を受けてから五年後に生存されていた割合は五二%でした。すなわち、手術自体は成功したにもかかわらず、四八%の人は、五年後までに再発して亡くなっていたのです。

 この結果に、私は愕然としました。
 一般に、「ガンの治癒」は五年生存率が目安とされています。その割合がほぼ半数で、残り半数が亡くなるなら、いったいなんのための手術でしょうか。私は、「もっと治癒率を上げなければ」という思いに駆られました。
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 それには、どうすればよいのか。私が注目したのは、一九九四年ごろから関心を抱いていた「ガンと食事」の関連でした。

 当時、ガンが進行していてじゅうぶんな手術ができず、ガンを取り残したまま自宅療養に移った患者さんのなかに、少数ながら「特殊な例」が見られました。それらの患者さんは、ガンを取り残しているのに、定期検査に訪れるたびに検査結果がよくなり、見た目にも元気になるのです。画像診断でもガンがしだいに縮小し、やがて完全に消失する例も現れました。


 そうした人たちの共通点は、自宅療養に移行してからの「徹底した食事療法」でした。
人によって細かい点は連っても、野菜を中心とした植物性食品の摂取、動物性食品や脂
肪・塩分制限などは共通していました。

 そこに、「治癒率を上げる大きなヒント」を見た私は、ガンの食事療法(栄養・代謝療法)について、本格的に研究し始めました。

 国内外の文献を読みあさり、この分野の先輩たちの業績に学び、徐々に食事療法をガンの治療にとり入れ、さまざまな症例を体験しました。こうして、「ガンに効果的な食事指針」を確立したのです。

 食事指導を行い始めると、「食事を変えることで、こんなにもガンが抑制できるのか」という驚きの連続でした。今も、それは続いています。
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 ガンの食事指針の基本ポイントは、大量の野菜や果物の摂取、動物性の脂肪・たんぱく質の制限、塩分制限、末精製の穀物の摂取などです。

 この研究の成果を、現在、食事指導を希望される患者さんたちに適用しています。そのなかには、胃ガン、大腸ガン、肝臓ガンといった私の専門である消化器ガンだけでなく、乳ガン、肺ガン、前立腺ガン、悪性リンパ腫などの患者さんも含まれています。

 あちこちの医療機関で治療を受けられ、手遅れなどといわれて行き場を失った患者さんや、ホスピス(ガン末期の患者さんの肉体的苦痛と精神的不安を軽減するために幅広い治療や介護を行う施設)に行く寸前に来られる患者さんも少なくありません。


 そういった晩期ガンでも、きめ細かい食事指導をしながら丹念に治療をすると、六~七割は改善します。なかでも、食事療法の効果が現れやすい乳ガンや前立腺ガンの改善率は七~ハ割に及びます。

 誤解しないでいただきたいのですが、私はガンの手術・抗ガン剤・放射線という現代医学の三大療法を否定しているわけではありません。これらはガンの診断が下ったあと、まず最初に受けるべき治療手段です。実際、この三大療法を私は現在も行っています。そして、私の専門である消化器ガン以外のガンについては、それぞれの専門医の診療を仰ぎつつ、食事療法を指導しています。
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 栄養・代謝(体内での物質の変化や入れ替わり)・免疫(細菌やウイルスなどの病原体を打ち負かす働き)といった、患者さんの体の側の条件を考慮せずに三大療法だけで突き進めば、ガンの治癒率はどうしても頭打ちになります。

 そこに、栄養状態を改善し、代謝を整え、免疫奎局める食事療法を加えて、三大療法との最もよいコンビネーションをとれば、治癒率は飛躍的に高まるのです。それだけでなく、患者さんのQOL(クオリティー・オブこワイフ=生活の質)も格段に上がります。


 本書では、こうした私の研究成果や治療体験について、率直にお話しします。ガンの患者さんやご家族への情報として、また、これからのガン治療を考えるヒントとして、少しでもお役に立てば幸いです。
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