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「腸管免疫」を高めれば、ガンも撃退できる!(3)

ガン細胞を「非自己」と認識することで免疫機能がガン発症を抑制している

さて、ここで重要なキーワードが登場しました。それは免疫機能と免疫細胞で、本項で
はまず免疫について考えてみることにしましょう。
 免疫学は18世紀のジェンナーによる種痘から始まったものとされています。つまり、疫
病から免れるために、コ院弱らせた菌を体内に注入し、それに対する抵抗力を持だせよう
という手法です。さらに近年になって免疫学は驚くべき進歩を見せ、様々な人体の免疫機
能が解明されてきました。
 まずは人体に備わった免疫のシステムの概要を見てみましょう。免疫学の根幹をなすの
が、病原菌をいかに撃退するかですが、最初の防壁として皮膚組織があり、汗や皮膚から
の分泌物が病原菌に対するバリアとして待ち受けているのです。
 汗や皮膚の分泌物はPH値が低く、常に弱酸性を保っています。こうした環境では病原
菌も生きていることはできず、皮膚に病原菌が付着しても自動的に駆除してしまうという
わけです。そのため、免疫と呼ばれる機能の約8割は皮膚が受け持っていると考えられて 53

います。
 次に呼吸器に入ってきた病原菌に対しては、くしゃみや咳などで体外に排出するほか、
気管の繊毛運動で外へと押し出してしまいます。さらに、鼻腔内には酸性のライソザイム
と呼ばれる分泌物があり、鼻から侵入した病原菌を殺傷します。
 一方、消化器系では飲食物に付着して胃に入り込んだ病原菌は、胃壁から分泌される強
酸の胃液によって溶かされてしまうのです。
 このように人体には何層ものバリアが張り巡らされているのですが、こうした防御縁を
突破する病原菌も存在します。そうした場合は、白血球に合まれる穎粒球の一種である好
中塚がまず病原菌を攻撃するのですが、好中球は別名、食細胞とも呼ばれ、文字通り病原
菌を捕食してしまいます。
 次に好中塚からの攻撃から逃れた病原菌に対しては、白血球の中でも強力な攻撃部隊で
ある単塚のマクロファージが襲いかかります。マクロファージは別名、大食細胞といい、
触手を伸ばして病原菌を細胞内に取り込み消化してしまう頼もしい存在です。
 そして、マクロファージは白血球の仲間であるリンパ塚に外敵が侵入してきたことを告
げます。その信号を受け取るのがリンパ塚の仲間のヘルパーT細胞で、ヘルパーT細胞は

その情報を分析し、リンパ球のB細胞に病原菌を攻撃するタンパク質の一種である免疫グ
ロブリンを放出するよう指令を出すのです。
 このヘルパーT細胞は人体の免疫反応をつかさどる司令塔のような役割を担っていて、
B細胞への指令だけでなく、T細胞胚やB細胞の活性化を促進させます。T細胞胚の中に
はキラーT細胞と呼ばれるグループがいて、ウイルスに冒された細胞を片端から破壊して
行きます。
 さらに、マクロファージが再度登場し、免疫グロブリンによって弱体化した病原菌を捕
食するのですが、これとは別の働きをするのがリンパ球の仲間であるNK(ナチュラルキ
ラー)細胞なのです。
 NK細胞はヘルパーT細胞の指示系統に属さず、自己の判断で病原菌を攻撃します。そ
の攻撃方法は病原菌の細胞内に粒子を打ち込み、内部から破壊してしまうという強力なも
ので、人体の免疫機能の中でも最強のグループだといえるでしょう。
 こうして体内に侵入した病原菌が死滅すると、今度はサプレッサーT細胞が登場して攻
撃中止命令を出します。攻撃を止めないと今度は正常な細胞まで傷つけてしまうためで、
これも人体の優れた免疫機能なのです。

通常ヽ攻撃に参加したリンパ球の大部分は死滅してしまいますがヽ一部のT細胞やB細 156
胞は生き残ります。これは再度、病原菌が体内に侵入してきた時のために情報を記憶して
おくためで、これで「免疫ができる」ことになるのです。麻疹や水痘雍にコ茨罹るとニ度
と発症しないのはこのためで、T細胞やB細胞が個別に病原菌の情報をストックしてい
ることにほかなりません。
 さて、ここで記憶しておいてほしいのは、病原菌だけでなく体内に侵入した異物のこと
を「抗原」と呼び、免疫グロブリンのことを「抗体」と呼ぶことです。冒頭でガンの脅威
について説明しましたが、なぜここで病原菌の話にすり替わったのか、不思議に思われた
方も少なくないでしょう。しかし、ここに免疫機能の大きな秘密が隠されているのです。
 つまり異物である抗原は「非自己」でもあります。自分と異なるものが体内に存在する
ために、免疫機能が働いてこれを排除するのですが、ガン細胞もまた新陳代謝のプログラ
ムを無視して増殖・転移を続ける異物であることから、免疫機能がガン細胞に対して非自
己と認識して攻撃することが最近の研究で知られるようになってきました。
 このように、免疫細胞がガン細胞を抗原ないしは非自己として認識し、これを捕食・攻
撃しているために、毎日ガン化する150~200個もの細胞を排除して、私たちの健康

を維持してくれているのです。
 それでは、自己と非自己とを認識する器官はどこなのでしょうか。最近の研究で脳の一
部に免疫機能をコントロールする部分があることが解明されましたが、全てではありませ
ん。と言うのも、ある研究所の動物実験で、猿の脳をそっくり別の猿の脳と交換する実験
をしたのですが、拒絶反応が現れて死んでしまったそうです。
 脳に生体の全てをコントロールする機能が備わっていれば拒絶反応は起きず、猿は生き
続けることができたのでしょうが、脳以外の何かが交換された脳を非自己と判断し、脳へ
攻撃を加えたために、猿は死んでしまったわけです。
 それでは、自己と非自己を認識する人体のメカニズムについて次項で紹介することにし

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