ガン発症のメカニズムはここまで解明されている
人体は約60兆個もの細胞で構成されており、細胞は一定の期間が過ぎれば自然死し、新
たな細胞が作りだされます。これが人体の代謝機能で、新陳代謝とも呼ばれているのはご
存知のことでしょう。
その新陳代謝をコントロールしているのが、DNA(遺伝子)で、1個の細胞に8万個も
のDNAが存在していることが現在では明らかにされています。そして、DNAの上には
生命プログラムである「生物時計」とも呼ばれる機能も書き込まれていて、寿命までの時
間を刻んでいるのです。
さて、現代の日本で死亡原因の60%を占めているのが、ガン、心疾患、脳疾患などのい
わゆる生活習慣病で、そのうちガンは死亡原因の30%を占めているといわれています。そ
して、今日においてガン発注のメカニズムはほぼ解明されており、そこにもDNAが大き
く間わっているのです。
例えば、健康診断などの際に「身内の方で、××の病気にかかった方はいらっしゃいま
すか?」と、質問されることも少なくありませんが、遺伝子のプログラムで特定の病気に
罹りやすいかどうかが決まっています。
そのため、私たちの日常でも「ウチはガンの家系だから」とか「私のところは糖尿病の家系で」
などの会話が交わされるほど、遺伝子が大きく関与していることが知られるようになってきました。
では、ガン発症のメカニズムをもう少し詳しく見てみることにしましょう。
まず、細胞の中には細胞をガン化させる「ガン遺伝子」と、それを抑制する「ガン抑制遺伝子」
とよばれる特殊なDNAが存在しています。
これは、特異な遺伝的体質を待った人に限らず、誰にでも両方のDNA加存在していることから、
決してガンは特別な病気ではないことがお分かりいただけるでしょう。
そして、通常であれば細胞は安定した状態で存在し、新陳代謝を繰り返すのですが、何
らかの刺激が加わると、ガン遺伝子が突然に目覚めてしまいます。それを制御するのが
ガン抑制遺伝子なのですが、目覚めたガン遺伝子が強力だと、制御を振り切って暴走を始め
てしまうのです。
ガンが恐いのは、新陳代謝のプログラムを無視して増殖・転移を続けることで、一度細胞が
ガン化してしまえば、永遠に自己増殖を続けます。そして、臓器や組織に取り付き、
正常な細胞をガン化させて塊(腫瘍)となります。さらには血液から養分を吸収し、臓器や
組織の機能を不全にして人を死に至らしめるわけです。
さて、細胞をガン化させる刺激とは何でしょうか。それを専門用語でイニシエーターと
いい、発ガン性物質や紫外線、放射線、ウイルス、活性酸素などが代表的なものになりま
す。そして、これらのイニシエーターは細脳内の遺伝子構造を変化させ、ガンヘの第一歩
を刻むのです。
ところが、イニシエーターによって細胞内の遺伝子構造が変化しただけでは細胞はガン
化しません。次に、タバコや性ホルモン、ストレスなどのプロモーター(発ガン促進因子)
が加わることにより細胞自体の性質が変容して、ガン細胞となることが現在では判明して
いるのです。
イニシエーターにしろ、プロモーターにしろ、これらの刺激は日常生活の中にあふれて
います。であるのなら、誰しもガンになるはずですが、その答えはイエスでもあり、ノー
でもあるのです。
と言うのも、健康な人であっても毎日、これらの刺激によって150~200個もの細
胞がガン化することが確認されています。これが増殖しないのは人体に備わった免疫機能
があるためで、日夜、ガン細胞と免疫細胞が体内で戦いを繰り広げているのです。

