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参考資料 あとぴナビ 「心療内科で見る心・体・アトピーの関係」 より
監修 中井吉英 関西医科大学心療内科学講座教授
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心の状態でかゆみが左右されているとしたら、どんな心がかゆみを生み出している
のでしょうか?アトピーの患者さんの代表的な例を元に考えていきましょう。
【タイプ1:心の状態がアトピー症状に関係していることに気づかない 】
かゆみがひどくなった時やイライラして掻き壊してしまった時、あなたはどんなことを
考えていますか?
つらい症状が続けば、心に余裕を持つことは難しくなります。かゆみのために何も
考えられないこともあります。
症状が重くなればなるほど、自分の心の状態を客観視できずに、心と体の「関係性」
に気づくことは難しくなります。
しかしそのことに気づかないままだと、つい無理をして症状が悪化するという悪循環
に陥ってしまいます。
自分はどんな時にかゆくなるのか?
掻く前後はどんな気持ちでいるのか?
冷静に正直に見つめてみてください。症状が悪化しているときの心身の状態や環境
を思い返してみると、今までの人間関係や自ら押し殺していた感情と、今の症状との
関わりが見えてくるかもしれません。
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【タイプ2:周囲に過剰適応する「よい子」「いい人」はストレスをためて症状を悪化させる 】
幼少の頃や思春期にいわゆる「よい子」で反抗期があまりなかった人は、
大人になっても温和で怒りなどの感情を表に出さない「いい人」であることが
多いようです。
特に両親が厳格な家庭で育った人は、両親の愛情を得るために「よい子」
として過剰に適応しようと努力し、大人になっても同じように努力する傾向が
身についています。
このようなタイプの人は、職場でも感情を抑え、無理な仕事でも頼まれると
つい引き受けてしまいがちです。
その結果ストレスや過労を蓄積していきますが、本人は気づいていない場合
がほとんどです。人間には光と影の部分があります。
自分の怒り、憎しみ、妬みなどの影の部分を隠さないことも、非常に大切です。
光の部分だけを表に出して、影の部分と分離させていると、生きていくのが
きつくなるからです。
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【タイプ3:感情表現が苦手なためにかゆみで感情を表現する 】
心身医学には失感情症(alexithymia)という言葉があります。心身症特有の病態で、
感情がないわけではなく、自分が持っている感情に気づきにくく、感情をうまく言葉で
表現できない状態にあります。
アトピーの患者さんの場合、怒りや葛藤などのさまざまな感情を無意識にかゆみで
表現してしまうのです。
このような傾向をもつ人は、大抵の場合、小さい頃に両親との意思疎通がうまく
いっていません。
親の愛情が足りないと感じる子どもは、掻くことで親の気を引こうとする場合も
あります。
そのまま大人になると、感情を言語表現できないことがストレスとなり、アトピーの
心理社会的因子となることもあります。
子ども時代から自分の気持ちを表現し、親に受け止めてもらうことは、健康な心身
を育てるために大変重要であることがわかります。
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【タイプ4:母子関係がストレスとなってアトピーに影響することがある】
乳幼児期
母子のキャッチボールによるコミュニケーションに問題があることが多い ヒトが
初めて関わりを持つ相手は母親です。
人間の五感に関わる器官で、最初に発達するのは皮膚。
人は胎児から皮膚を通して母親とのコミュニケーションを開始しています。
コミュニケーションとは、キャッチボールのようなもの。キャッチボールは双方向的で、
一方が投げた球を相手が受け取って投げ返します。
投げる球は言葉とは限りません。
身振り手振りでも、笑顔や表情だけでも、発達段階に応じたキャッチボールが可能
です。乳幼児期は、母親の愛情を受け取ることによって、世界との関わりを少しずつ
感じ取り、学んでいきます。
母親とコミュニケーションすることによって、将来生きていくためのコミュニケーション
能力を身につけ、やがて自立して一人前になります。
しかし、乳幼児期の何らかの要因が母子コミュニケーションの障壁となる場合があります。
子どもにアトピーが発症している場合、生活全体がアトピー治療中心となり、皮膚のケアが
主なコミュニケーション手段となってしまうと、キャッチボールに問題が生じることがあります。
周囲から十分なサポートが受けられず、アトピー治療と子育てに疲弊した母親が、
スキンシップや言葉がけといった十分なコミュニケーションを行えない場合もあれば、
かえって過保護になる場合もあります。
思春期—成人
親子関係の問題が社会での人間関係のストレスやアトピーにつながる人にとって
乳幼児期の母子関係は、生きていく基礎となるものです。
人間の五感に関わる器官で、最初に発達するのは皮膚。人は胎児から皮膚を通して
母親とのコミュニケーションを開始しています。
コミュニケーションとは、キャッチボール乳幼児期の母子のキャッチボールが不十分で、
子どもが十分に愛情を受け取れなかった場合は、自分の皮膚を掻くことを、母親への
コミュニケーション手段としてしまう傾向があります。
愛情が欲しいという意思表示が、掻破行動として表現されるのです。
逆に負い目を感じた母親は、子どもに対して過保護になったり、急接近して関係を
修復しようとします。
これが思春期や青年期の自立願望の時期と重なると、事態はより複雑です。
子どもとしては、今まで渇望していた母の愛情を得られる反面、育ってきた自立心
に介入されることに反抗したいという葛藤が生まれ、親子関係がストレスになります。
アトピーが重症化し、家にとじこもりがちになると、ますます親からの自立が難しくなる
こともあります。
こうして成人の段階になっても母子分離がうまくいっていないと、社会に出たときの
人間関係全体がストレスになります。
子どもは生後数カ月からすでに親から自立しようとする心を持っており、この頃から
母子分離は始まっていることを知っておくことも大切です。
そこで、海外生活を始めたり、入院して親から離れることで、症状が改善することも
あります。
このように、人の成育史をたどっていくと、母子関係がストレスとなってアトピーに
影響するという心理社会的因子は、大変根深い問題であることがわかります。
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